心身のリズムをつくる“週末リセット”のススメ

ひと月ほど前から唐突にランニングを始めた。世間ではちょっとした流行らしい。

といっても、ぼくは土日祝だけの休日ランナーである。もとより平日に走る余裕なんてない。労基法と相性のいいデザイン会社?そんなものの存在をぼくは認めない!ぼくの目が黒いうちは…いや、今はそんな話はどうでもいい。とにかく、思い立ったが吉日とばかりに安手のウェアとシューズを買い込み、いきなり走り始めたのである。手持ちのTシャツやスニーカーで始めなかったのは、ただただテンションをあげるために他ならない。ついでに iPod shuffle まで買ってしまった。勇み足である。それはともかく、これが思いのほか悪くない。むしろ快適なのである。

もうかれこれ20年近くもロクな運動をしてこなかった。当然からだは辛い。が、意外に早く慣れる。いや、慣れる程度以上には無理をしない。これが肝要である。ぼくの場合は、近所の緑地公園を30分。スピードや距離には必要以上に固執しない。とにかく30分走りきる。それ以上のハードルはとりあえず課さない。その程度の気持ちで走り始めても、1日目よりも2日目、1週目よりも2週目の方が、明らかにからだが軽くなっている。筋肉痛に襲われたのも最初の2日くらいで、翌週からは脚の張りもなくなった。その辺りからである。平日もからだが楽なことに気が付いた。

まず、酷い背中のコリがずいぶんとマシになった。血行の問題だろうか。インドメタシンはもう要らない。それに走って疲れるせいか、その日の夜はよく眠れる。日頃、不眠の気があるぼくとしては愉快なことこのうえない。もちろん1週間の寝不足がひと晩で解消される道理はないけれど、朝の辛さはいくぶんマシになったように思う。月曜の朝、起き抜けのテンションが明らかに違う。おかげで平日のデスクワークが以前よりもずっと楽になった。これだけでも仕事に対する気持ちが違ってくる。からだが辛いと心も弱る。やる気の8割は、たぶん、元気でできている。

もうひとつ大切なことがある。走るなら「朝」だ。これで自然と前の晩は夜更かしを避けるようになる。金曜の夜だからといって無闇にフィーバーしたりしない。酒量が減って経済的でもある。近頃なんて、気が付けば平日より早い時間に起きている。顔を洗って目を覚ましたらすぐに着替えて家を出る。持ち物はタオル、腕時計、財布、それからキーケース。公園まで自転車で行き、念入りに準備運動をしてから走り出す。…30分後、軽く整理体操をして公園をあとにする。コンビニでアクエリアスを買い水分補給などしつつ帰路につく。全行程で1時間ほどだろうか。

帰宅し、シャワーを使ってさっぱりする。この段階で、まだまだ全然「朝」である。昼近くまで寝ていたときより、からだもずっとよく動く。朝日で生物時計がリセットされ、全身が快適なリズムを取り戻している。そんな気がする。これで休日の過ごし方がまったく違ってくる。とにかく、1日が長い。やることをやってもまだ十分に時間がある。何かをやろうという気力もある。実のところ、週末ランニングのいちばんの棚ボタがこれだ。休日が充実する。おかげで心身ともに気持ちよくリセットされ、1週間分の澱がきれいに濾過される。いまのところ、副作用はない。

こうした自身の変化が、いまは楽しくて仕方がない。ランニング用のプレイリストを作るとか、冬物のウェアを物色するとか、周辺の楽しみもある。今日は脚がよくあがるとか、からだが重いとか、その日の体調のバロメーターにもなる。走り終えて1週間の疲れがドッと出るような日は迷わず昼寝をする。そんな日は日がなゴロゴロと過ごしても後悔はない。何よりランニングは孤独だ。自分のからだや景色や音楽、或いは、思考の中に没入できる。これがぼくには向いている。そのうち飽きるかもしれないけれどそれでも構わない。苦痛ばかりになるならやめればいい。

いずれ軽薄な流行だなどと馬鹿にせず、何でも一度はやってみるものである。

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管理人イメージなりゆきでlylycoなんて名乗るも性別は男。自室にテレビがない。自然、本とインターネットが主な情報源となる。速読技術がないため遅読。実用書より小説を好む傾向あり。食も知も雑食を旨とするも思うに任せず。京都在住、大阪勤務のデザイン系会社員。

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